トップランナー

李相日監督がNHK総合のトップランナーに出演。
妻夫木さんと久石さんのコメントの他『悪人』について多く触れられていました。

『悪人』を観てから李監督のこだわりにすごく興味を持ちました。期待を寄せていたのは深津さんで作品じゃなかったんです正直。だから、『悪人』を観て作品に衝撃を受けて、映画に込められた勢いと世界と総べてに呑みこまれて好きになりました。内容はとてもドロドロしていて切なさと愛憎と重力を奪っていくような気の沈みと救いも合ったりなかったりと考えさせられるものではあるんですが、なんというか、なんて言ったらいいか迷うんですが、気概が違う。
どこかで言ったか忘れてしまったけれど、李監督は「演じていけば本当になる瞬間がある」と言うニュアンスのことを言っていた記憶が合って李監督のしつこさはそこから成るものだなと思っていてだから知っていくのが面白いと言うか。非常に興味深い番組でした。

番組内で深津さん絡みで興味深かったものは、李監督は撮影するとき役者陣に向かって“気”を送っているそうで、それが役者自身は100%以上の力を引き出す源になっているような話が有り、今までそれが誰にもバレなかったのに唯一深津さんにバレたそうで対談のときにそれを言われてびっくりしたとおっしゃってた下りがありました。たぶん深津さんの話が出たのはそこだけかな?
それを聞いたとき、深津さんの舞台での演技を観たときの印象を思い出しました。
深津さんは空気を作る人でもあるけれど、空気を受ける人でもあると。発する空気は人に届き、受けた空気は世界に反映させていく人。
人は誰でもたぶん発光源を持っていてそれを活かせるかどうかは自分自身とよく向き合ってる機会を持っている人だと思うんですよね。役者さんもそうですけど、“ものをつくる人”はその機会がたぶん普通に生きているより多くて些細なことに過敏になっているんだろうなと思います。だから深津さんが気づいたと言うのはなんか深津さんにとっては普通のことなんじゃないかなと思っていて、でも普通のことって、あたりまえのことって気づくの難しいじゃないですか、且つそれを表現することって本当に難しいと思うんです。だからかもしれないんですけど深津さんはちゃんと普通を意識して受けとめてそれを表現していることが分かってそれがとても嬉しかったです。
本人の口からではなくそれを聞けたのが李監督の口からだったこともなんか嬉しかったです。はい。