悪人@6回目

そう、6回も行っているんですが、なんでこんなに行っているのか本当に分からないんですけど、たぶんわたしは作り手側で観ているのかもしれません。
初回はストーリーを追って、2回目は深津さんを追って、3回目は妻夫木くんを追って、4回目は舞台全体を追って、5回目は会場の雰囲気ごと観て、6回目は頭の中で台詞を抜いて観てました。

んー、どこから書こう。
端的に感想を書こうと思えば書けるんですけどそれが難しい。
かと言って全体を端的に顕すのはすごく難しくて語ろうと思えばそれこそ暇な友達捕まえて一日2時間くらいで一週間くらい喋り倒せそうなくらいな気持ちがある映画で、正直どこに比重を持っていけばいいのかが分からない。

映画館を出てもふとしたとき考える映画ってそうそうないです。
とまぁ、わたしの中では評価が高い作品です。
消化していくのにも時間がかかっているので、ゆっくり筆をすすめていきたいと思います。

以下冒頭の感想をば。
では、映画の冒頭から。
峠のガソリンスタンドで祐一が車中で携帯をいじっているシーンから始まる。この映画は峠のガソリンスタンドと言うシチュエーションであることにより田舎が舞台なんだなと単純に理解しました。この単純に理解するってたぶんいちばん重要で今回は原作付ですけど、原作未読の方はやっぱりいらっしゃる訳でわたしも初回は未読だったものでそれが合ったから見入ることが出来ました。何より祐一の表情に惹き込まれました。
『なんて何もない人なんだろうと』
失礼な話ですが、そのときは何故かそう思ったんです。居るのにいないんです。祐一。この感想は合っているのかどうかも分かりませんがそもそも合ってる合ってないってないんですけど。

この映画は目立った台詞がないところは本当に作りこまれていて、冒頭のシーンでいちばん感動したと言うか、印象に残ったのは遺体を引き揚げるシーン。
あのシーン確かにシークエンスのひとつなんですけど、あそこで刑事さんのひととなりが分かるんです。野暮ったい刑事と場の空気が読めない刑事。
二人の関係性と仕事の出来なさ具合があのシーンひとつで分かるんです。引き揚げてるところに降りてこなくていいと言われているのにわざわざ降りる刑事を入れる必要ってあるのかなって考えると合ってもなくてもたぶん大したことじゃないんですよ。そう大したシーンじゃないんです。引き揚げているのが佳乃だって分かればそれでいいんです。大半の人には。でも敢えて入れている。ご丁寧に「僕もそっちに降りた方がいいですかね?」と台詞もきちんと入っていて。
それすごいなって・・そうすごいなって思ったんです。
だから、わたしはずんずんこの作品に入り込んでいってました。

続きはまた後日。
随分間が空きました。
ここからは、作品解説をするわけではないので、印象に残ったシーンをまばらに綴っていこうかと思います。

餃子を囲むシーンが佳乃が登場するシーンの中でいちばん好きです。満島さんの目力に佳乃と言う人物が無意識下に真子(中村さん)を見下している様が見て取れて、力関係、優劣があの図で分かるんですよね。そのときのいちばんの台詞が「だってそのために会うたんやけん」ですかね、やっぱり。その一言とさも当然じゃないかと言う目線で佳乃の厭らしさが際立ってとても印象に残っています。真子の表情もとてもよかったんでこれは満島さんと中村さんの掛け合いが良かったんだろうと思います。はい。