ポプラの秋

9月21日シネスイッチ銀座14時30分上映回。
湯本香樹美さん原作のポプラの秋を見てきました。
岸辺の旅の公開を控えてウキウキしていたのですが、その前にポプラの秋の上映があるのを知ったので折角なので見に行こうと思ったのです。

原作はまだ半分しか読んでいないんですが、この物語もまた人の生死を扱っていてその半分を読んだだけでも湯本さんらしい話だなと思っていたので観れてよかったです。
物語の要であるポプラの木が印象的なコーポポプラは原作では場所の明記がありません。
もしもこのお話を岸辺の旅の黒沢監督が選んでいたらどこの場所を選んだのだろうとなんとなく考えました。大森監督はポプラ荘の場所を飛騨高山に選びました。大森監督の縁ある土地なんだろうか。パンフレットを買えば載っていたのかもしれないなぁ。

わたしは原作を読んだとき、生家を思い出しました。茶色い給食センターがわたしの住んでいる部屋よりさらに高台にどかんとあった都の職員住宅で、都会のど真ん中にあったところだけれど、緑が多くて坂を下れば消防署と交番があって、さらに勾配のキツい坂を登ってちょっと行くと駅に出ました。
原作の駅を出てから消防署があってと言う一文にふとその消防署を思い出したのかなと思います。残念ながらポプラの木はなかったけれど秋には独特な匂いを放つイチョウの木があってその落ち葉を集めて坂下の大きなバウバウと名付けられた犬がいる家があってたぶん地主さんだったんだと思うんですけど、そこにその葉を持って行くと焼き芋を分けて貰った記憶まで掘り起こされました。

ほんのちょっと読んだ原作と映画の描写で少しも似ていないのにひどくその場所が懐かしいです。
湯本さんのお話はいつもひどく懐かしいんだと思います。わたしの中で、ですけれど。
観たあとに溢れ出したこの思い出たちにいまは包まれてのんびりと家に帰ろうと思います。