白い凶器

欲を言うと、たぶん戸田さんはもっと演りきりたかったんじゃないかなと思いました。見たときの第一印象は男性の視点だなと言うか、男性が重きを置くパートの方が丁寧に描かれているなと言う印象を受けたんですよね。一時間では描ききれなかった部分がこのお話にはあったような気がします。ところどころで辻褄が合わなくなると言うか、でも余所見をせずに見れたドラマが久しぶりで随分惹き込まれました。逆にそれがなんかちょっと悔しい。

終着点を考えると義弟くんの言葉がすべてなんだろうなぁ。

「義姉はもうだいぶ前からいないのかもしれません。」

でも、もう一回、もう一回と重ねて見たらなんかきっとまったく別のことを思うのかもしれませんけど。

わたしは由希子の感情に引っ張られる程には弱っていなかったし、引っ張るには少し場面が足らないと思えてしまった部分が合って、思うとそれはいちばん大切に演じたいと戸田さんが願ったシーンが本番もリハも一度きりだったと言ったことが大きいかもしれない。一度の、刹那の魅力は確かにあるけれど戸田さんはたぶんストイックな分“ひとまず演ってみる”人だからそのタイミングがもしかすると合わなかったのかもしれないとそんなこと思ったのでありました。

でも、やっぱり面白かったんですよ。
東野圭吾ミステリーズは全話見ているけれど、ストーリーテラーのいる番組としてはストーリーで惹き込むと言う姿勢が気持ちよく出ていたし身近に起こりうるかもしれないものとしてはこの話は大分リアルだったから滑稽な前座からあっという間に切り替える術も自然だったなと。4話の観月さんの回も善かったけれどそれをあっさり越えました。贔屓目抜きにしてもやっとエンジンがかかってきたなと思えたので7話本当によかったなと思います。はい。

上記のシーンは特に秀逸でした。ただボイスチェンジャーでなくてもよかったなぁと思いましたけれど。