恋は余計なお世話

ふと憂さ晴らしでDVDの整理をしていたら、「恋は余計なお世話〜深津ちゃん何言ってるのしのぶ全然分からないスペシャル〜」が出てきました。
そういえば、別のブログで書き起ししてたなぁと思いデータを探していたらそれも出てきました。しかも中途半端なデータで。
と言う訳で、時間が出来たら続きをするべく途中の途中まで措いて置こうと思います。

しかし、わたし書き起し好きだなぁ。
下手にいじるとおかしなことになりそうなので、敢えてそのままにしておきます。

では、興味のある方はどうぞ。

(ナレーション)
一年同棲してた男と別れた。
ひどい男だったので捨ててやった。
ついでにアパートを飛び出した。
友達の家族が家を空けてしばらく海外に出張中との事。
コレ幸いと留守番を買って出た私だった。
(ナレーション終わり)

玄関からリビングへ入ってきた深津。
初めての友達の家に初めての留守番生活にすごく浮かれている。

「いやー(ん)すごーーい。」

部屋の中を歩き回る深津。
見渡す限りの広いリビングにはゆったり二人がけのソファーと一人がけのソファーが並びその前に丈の低いテーブルが置かれそのテーブルの上にはコケシのような頭がカクカクと動く木の彫り物が置いてある。
そして暖炉まである。
暖炉の上には王将と書かれた大きなおみやげ物の将棋の駒が置かれていた。
その将棋の駒を手に取り目に当てる仕草をすると深津は言った。

「うわー角が目に刺さるわー。」

その仕草にどこからともなく笑い声が聞こえるが深津は構わず、暖炉の前に置かれていた虎の燻製敷物の頭に蹴りを入れ、

「なんだ馬鹿野郎。」

を三回程繰り返し飽きたのかソファーの前のテーブルに置かれている良く分からないこけし(?)のような木の彫り物を手に取ると、カクカク振り

「はぁぁぁぁっ(奇声)なんかぁ意味が分からないわぁ。」

と言うと、手に取ったこけしのような木の彫り物を置くと同時に

「素敵。」

と呟いた。

(ナレーション)
そして今日からここが23歳ちんけなOL深津絵里の仮の住処となりました。
(ナレーション終わり)

そして持っていた鞄から『峰』を取り出し、先ずは最初の一服を楽しんだ模様の深津だった。

『タイトル』
恋は余計なお世話

〜深津ちゃん何言ってるのしのぶ全然分からないスペシャル〜

(歌)
自分なんか最低
拗ねて時々そう思う
市川森一みたいなセーターに
恋は複雑ね
だけど深津ちゃん
あきらめて炬燵で寝ないで
犬に眉毛をかかないで

オーストラリアが四国に似てるように
Cobaは加納典明に似ているさ
Cobaは(Dr)コパには似てないけれど
生牡蠣はタンによく似てる
みんながOK誰かに似てる
あなたに似てる誰かもいるさ
一人じゃないよ
なぜ泣くの深津ちゃん
ごめんねしのぶ ちとわからない
なぜ軍服なの深津ちゃん
しのぶつくづくわからない
なぜ80年代メイクなの 深津ちゃん
わかりにくいよ深津ちゃん
なぜ発光してるの深津ちゃん
しのぶ全然わからない



主題歌「なに怒ってんの深津ちゃん」
作詞:松尾スズキ 作曲:田村玄一
歌:大竹しのぶ

(歌終わり)

一話「犬返せ!!!の巻」


チーンと鐘を鳴らしダイニングテーブルに愛犬と思しき白いマルチーズの写真を置きながら吸っていた峰を消す。

「よーしカバチタレここがお前の定位置だ。敵は討ってやったからね。」

その後ろからお忍び姿のサングラスをかけたしのぶがこっそり入ってくる。
音が少し鳴り深津は振り返ると、声にならない悲鳴を上げる。


「あ、ごめん。」
「(悲鳴)」
「あ、ハッピーターン食べるアミノ酸たっぷり。」
「っつだだだ誰ですかっ?」
「やだー忘れてる。ハッピーターンかりっと香ばしいおいしさ。」

『っふんっ!!』と男らしいあけ方をし、ハッピーターンを勧めるしのぶ。

「け、警察呼びますよっ。」
「やめてよーセンスないこといわないでよ。」
「センスって。」
「黙って入ってきたからって警察呼ぶって直球っ!直球過ぎるよ深津ちゃん。」

そう言うとかけていたサングラスをしのぶは外した。
外すと距離を保ったまま二人は見つめあい、深津は思わず口をあけた。

「思い出してくれたの?」
「あっ?!・・・・大竹先生?」
「もうっ!遅いよ遅すぎる。教えちゃうっ。」
「いやあのだって突然だったんで。」

そう言うと二人は近づいた。

「どうやってここが?」
「え、あ、うん実家に電話したの。あ、まぁ座ろう。」

そう言って半ば強引にソファへと座らせようとするしのぶ。

「立ったまま出来る話じゃないし。ね、ほら座ろう。」
「え、あ、いや。」
「ね座りなっしょ。」
「なっしょって。」

と言いつつもしのぶの強引さに抗えない深津はおとなしく座った。
座ったと同時に男らしい開け方でハッピーターンを落とすしのぶ。
そして落ち着いたのかハッピーターンを置き、お忍び扮装である頭に巻いたスカーフを解くと深津に語りかけた。

「5年振りだね。」
「そうですか。」
「何よっ違うっての?!」
「え、いや5年ぶりです5年ぶりです。」
「5年ぶりです5年ぶりです。」
「そんな受け口で言ってないです。」
「もーやだームキになっちゃって。」

と言いながらこけしのような木の彫り物の頭を思い切り叩くしのぶ。
慌ててこけしのような木の彫り物を庇い奪い取った。

「ちょっとぉ止めてくださいよ。これ他人の。ここは他人ん家。」
「あら強気。」
「もう高校の頃のちんけなあたしじゃないんだからっ。男捨ててきたんだから。」

言いながらハッピーターンをしのぶに真似て男らしい開け方をする。

「あら。言うじゃない。じゃあこっちも言わせてもらうけどさぁ。」
「もうなんの用なんですか?」
「あのきっぱり言っていい?」
「はぁ?」
「きっぱりのろけていい?」
「ええ?」
「あたしねっ。」

そう言いながらパンと深津の腕を叩きながら照れ隠しをするしのぶ。しゃべりだしたら止まらない。

「男が出来たの。いい男なのたまんないの。あたしが通ってるカラオケ教室の先生なんだけどね。すごいのよ3千曲歌えるのよ。」
「それがあたしとどういう。」
「毛深くてさ毛深くてさ毛深くてさぁ峰・・。」

何を言ってるのか分からなくなってきたのかしのぶは目の前に置かれていた深津愛用の煙草の銘柄まで言っている。

「もういやーん。」
「はあ、毛深くておめでとうございますとしか言いようがないんですけどすみません。」
「えへ。」
「え?待って?先生って結婚してたんじゃ。」

そう問いかける深津にしのぶは先ほど奪われた木の彫り物を抱えた。

「そうなの。それが問題なのよ。」
「まあとりあえずこの置物は置きましょう。他人のだから。」

深津はしのぶから木の彫り物を取り返すと自分の目の前に置いた。
しのぶはそんな深津に構わずソファーから一段下がると正座をした。

「ねえ深津ちゃんお願いがあるの。」
「え?」
「お世話して。」
「お世話?」
「お世話してよ。お世話しますって言ってくれる?」
「いやー話によるけど。」
「あんた。あんた昔あたしのことを命の恩人って言ったのよ。これあんたが言ったんだからね。忘れたとは言わせませんからね。」

そう啖呵を切るとさあ言えと真理的に詰め寄った。

「ほらハイっ。」
「おおお、おすわします。」
「え?」
「お世話しもす。」
「おっけー。あたしね駆け落ちしちゃったの。」
「ええっ?駆け落ち?」
「松尾ちゃん入ってぇっ!!!!」
「え?まだ誰かいるの?」

深津は振り返ると松尾が入ってこようとしている。
深津は慌てて立ち上がると松尾を追い出そうとした。

「え?ちょっと困ります。他人ん家っ!他人ん家ですから。」

そう言いながらドアを強引に閉めようとするが松尾は間に挟まり尚も入ろうとした。
そのことに少しパニックになったのか深津は意味の分からない奇声をあげた。
その様子にしのぶは怒る。

「ちょっとあんたお世話しますって言ったじゃないのよ。」
「言ってませんよ。お世話しもすっって言ったんです。」
「お世話しもす?何よそれ。」
「わかんないよっ。」
「あ、あんた何タメ口きいてんのよっ十年早いんだよっ。」

深津のタメ口にしのぶはすごい剣幕で怒り出すと押さえ込んでたドアから深津を引き離した。
松尾はすかさず入ってくると口を開いた。

「この十年くらいぎゅうってされなくていいくらいぎゅうってしもした。」

そして笑顔で各々を紹介するしのぶ。

「ふふ。あたしのステディーの松尾ちゃん。んでねんでね。あたしが国語の先生やってたときの元生徒。」
「あ、どうも。実が出るかと思ったぜ。」

深津はなるべく目を合わさないようにしながら大人しく話を聞く。

「彼ね彼ね。元歌手なの。」

そう言いながらしのぶは恥ずかしいのかきゃーっと叫んでばたばたする。
その間に松尾は深津に挨拶をした。

「どうもチャーリー松尾です。」

松尾は深津に顔を近づけ両目を何回かつぶる。

「あっ。ウインクしようと思ったら、両目つぶっちゃった。そんな不器用な男です。」
「ハイ。知りません。」

手を差し出す松尾にあっさり無視をし追い出そうとする深津。

「いいからここ他人ん家なの。出て。ほら早く。」

またドアに挟まれる松尾。

「ねえちょっとあんた知らないの?涙惚れ。」
「はい。知りません。」

知らないのか?という面持ちでこういう歌よと言わんばかりに歌いだす二人。
(松尾は挟まれたままであるが。)

「「涙が似合う女が惚れる。」」

「もうとにかく出てって!!!!」

二人がワンフレーズも歌わない内に深津は声を張り上げた。
その声に負けないくらい松尾は構わず歌う。

「ほえてほえて横浜が丘ーーーっって痛い痛いよ。本当に痛いよっ。」

その言葉に怯んだ深津を押しのけて松尾はまた入ってくる。


「死んじゃうじゃん。」
「すみません。」
「実が出ましたって今。」
「あ、ごめんね松尾ちゃん。この子ねちょっとね痛い子なの。」
「あ、なっんもうっ。分かりました。じゃあ話だけ話だけ聞きますから。だからもう変な歌歌わないで下さいね。」
「変な歌ってなんだよっ。」
「ありがとう!あたしね本当はこの子がね一番好きなのっ。」

痛い子だと言ったフォローにしのぶは声を張り上げながら深津に近づいたが突如気づいたかのように『はっ』と声を上げると、しのぶは松尾の元へ走り寄った。

「本当はね。本当はねあたしはね松尾ちゃんのことがね一番好きにゃのーーーっ。」
「僕もね大竹ちゃんのことがね一番好きにゃのーーーっ。」

言いながら二人はくるりと一回転をしお互いの名を呼び合うと深津の目の前で接吻をした。
それをまともにみた深津はセクシーポーズをしながら倒れた。

「どうしたのっ?!」
「どうした?」
「どうしたの深津ちゃん。何セクシーポーズとってるの?」
「何で半笑いなの?」

口から血を流しすぎている深津。

(ナレーション)
TVの前の皆さん 心配ご無用 これは死んだフリです。
絵里は倒れた拍子にちょっと口の中を噛んだだけ。
びっくりした?
(ナレーション終わり)